常陸太田市にある東金砂神社と西金砂神社の元社に当たる「元金砂神社」の拝殿の再建が完了し、6月6日、氏子ら約20人が出席し、春の例祭と完工報告祭が行われ、地域の長い安寧を願いました。拝殿は、今年2月の強風で、境内にあったイチョウのご神木が倒れて直撃し倒壊しました。氏子や地域住民らは「自分たちを長く見守ってくれていた神社をなんとか修復したい」とすぐさま再建に乗り出し、わずか４カ月で完成させました。
　同神社は８０６年に創祀（そうし）し、１２００年余りの歴史を持ち、市内二大神社の東金砂神社と西金砂神社は、元金砂神社からが派生したともいわれます。二大神社合同の小祭礼の際には、行列の途中、奏楽を止め、元金砂神社が鎮座する山に向かって礼拝する習いがあるそうです。
　倒れたご神木は樹齢千年超と伝わり、東日本大震災などの地震や台風の雨風にも耐えてきたそうです。拝殿は倒壊後、柱が残るばかりで、屋根は崩壊し、壁は割れ、がれきが散乱する状態でした。
　氏子や地域住民らは「千年以上生きてきたご神木に限界が来ていた」と残念がる一方で、倒壊した拝殿に「地域住民の心の支え」や「小さな神社だが自分たちには、かけがえのない存在」「子孫の未来を見届けてほしい」などと、早々に再建を決めました。
　再建に併せ、再発防止のため周囲で倒木の恐れのある木の伐採などを計画。地域住民や地元の団体などの寄付のほか、クラウドファンディングにも挑戦しました。 　報告祭を迎え、氏子総代の櫻井文男さんは「子供の頃から遊んだり、お参りに来ていた場所で、倒木による拝殿の崩壊は本当に驚いた。皆さんが修復に気持ちを一つにしたことで早期に完成できました。感無量だ」と喜んだ。和田忠彦宮司は「本当に早く再建してもらいました。地域住民や氏子の皆さんが健康で幸せで、精いっぱい務めて子々孫々まで繁栄できるように見守ってもらえるように願った」と話しました。