偕楽園（水戸市）の開園180年を記念して県は7月3日、偕楽園と弘道館を巡り創設者の水戸藩第9代藩主・徳川斉昭の思想をさぐるツアーを実施しました。参加者38人は弘道館の研究員や学芸員の案内で論語の素読や見学を行い、斉昭が構想した「一張一弛（いっちょういっし）」を五感で体験しました。
　全国一の規模を誇る藩校「弘道館」に対し、偕楽園は「民と偕（とも）に楽しむ」憩いの場として1842（天保13）年7月1日に開園。斉昭自ら庭園や好文亭の設計を行いました。
　午前中は弘道館を訪れ、同館主任研究員の小圷のり子さんが歴史などを説明。参加者は若き日の徳川慶喜が学んだ部屋「至善堂」で、孔子の言動を記した「論語」の一部を素読しました。小圷さんは「（弘道館は）水戸藩士と子弟約千人が学んでいた。身分によって、来る日数が異なっていた」など話しました。
　また、特別公開された孔子を祭る「孔子廟」や、弘道館建学の精神が記された石碑がある「八卦堂」などを巡りました。
　続く偕楽園では、吐玉泉や偕楽園記碑、好文亭などを見学。同館学芸員の瀬戸裕介さんは「弘道館の石碑の文字は厳格な隷書。一方で偕楽園の記碑は軽やかにしたためられ、梅の花が散らされている」などと違いを挙げました。
　昼食では、好文亭カフェ「樂」で栗や常陸牛、ショウガの３種の笹寿司と、園庭をモチーフとしたデザイートに舌鼓を打ちました。
　参加者の一人、常陸太田市のパート、品田佳恵さんは「斉昭公の多方面にわたる才能がよく分かった。説明が分かりやすくて大変よかった」と喜んでいました。