戦後から半世紀にわたる日本版画の代表作を一堂に集めた企画展「戦後日本版画の展開－照沼コレクションを中心に」が、水戸市の県近代美術館で開かれています。県内のコレクターから寄贈された版画を中心に、日本を代表する作家らによる約１８０点を展示しています。版画の歴史やそれぞれの技法をひもとき、魅力に迫ります。

　主な出品作家は、斎藤清氏や駒井哲郎氏、浜田知明氏、棟方志功氏を含む７７人。戦後の日本版画を収集してきた東海村の医師、照沼毅陽さん（２０２１年死去）から寄贈された作品を中心に展示しています。

　照沼さんは生前、数回にわたり同館に作品を寄贈してきました。同館が所蔵する版画約１９００点のうち、３分の１が照沼さんのコレクションで、現代の日本版画が充実したことで、歩みを概観する今回の展覧会が実現しました。

　見どころは１９５０年代以降、海外の展覧会で一躍脚光を浴びた日本の版画家の代表作がそろう点だ。木版や銅版、素材や技法、さまざまな色彩など、多様な表現が楽しめます。刷りの工程を重ねた微妙な色彩などが魅力の清宮質文氏の作品は「早春の静物」を含む２７点が出品されています。アトリエ再現コーナーには、遺品の机や道具類も展示されました。

　同館主任学芸員の永宮勤士さんは「カラフルさや緻密さなど、版画には筆で描く作品とは違った魅力がある。きめ細かな表現を間近で鑑賞してほしい」と話しています。

　会期は２０２３年２月５日まで。午前９時半～午後５時。月曜休館（ただし１月２日、９日は開館）。２９日～１月１日、３日、１０日は休館。