「椿（つばき）」を題材に、近世から近現代の絵画や工芸作品を集めた企画展「椿×名品展　－ふたたび、五浦へ」が２９日、北茨城市の県天心記念五浦美術館で開かれています。
桃山－江戸初期に描かれた屛風（びょうぶ）や琳派（りんぱ）の工芸作品をはじめ、横山大観の日本画や岸田劉生の洋画など、椿をモチーフにした８９点が展示されています。 　艶やかな葉と可憐（かれん）な花をもつ椿は、冬の寒さを耐え抜く強い生命力を備えることから縁起のよい木とされている。
「日本書紀」には神聖な呪木（じゅぼく）として登場し、「万葉集」にも詠まれてきました。江戸時代には琳派をはじめ多くの作家が題材に取り入れました。近代以降も日本画や洋画、工芸などの分野で椿の美が表現され、数多くの名品が生まれています。
「椿」をテーマにした同館の企画展は１６年ぶりです。今回も椿絵のコレクションで知られるあいおいニッセイ同和損害保険の所蔵から、伝狩野山楽の屛風や尾形光琳に代表される琳派の蒔絵（まきえ）硯（すずり）箱をはじめ、横山大観や奥村土牛らの日本画、岸田劉生や香月泰男らによる洋画の名品が出展されました。
同館の木内智美主任学芸主事は「古くから日本人は椿に愛着を感じてきた。強さやはかなさなど、椿の魅力を表現する作家の個性を楽しんでいただければ」と話しています。 　
会期は６月１１日までです。